「お前の友達をおしえてみろ。そうすればお前がどんな人間か当ててやろう」(「ドン・キホーテ」スペインの作家 ミゲル・デ・セルバンテス)
スペインと言ったら? 「ピカソ、ミロ、ダリ」と答える人は、きっとスペイン現代画家がお好きな人でしょう。
そう。いわば「友達」をおしえてもらえれば、その人がどんな人かは分かるのです。
では、やはりスペインと言ったら? 「ミゲール・イドゥライン、ペドロ・デルガド、アレハンドロ・バルベルデ」、はたまた「ゼウス、トリプレックス」と答える人は? これは最後で・・・。
そんなことより、スペインパンと言ったら? 「ガンディアベーカリーさん」と答える人は、立派な生粋のスペイン人!
なぜなら、「本当のスペインパンを紹介したい」との願いのもと、ガンディアベーカリーさんはお店を始められたからなのです。
そのパンを毎日食べ続ければ、そりゃあ、あなたも体の底からスパニッシュよ!
先号に引き続いてガンディアベーカリーさんです。
では早速パンのご紹介。
毎日のように食べ続けたいパンから。
全粒粉パン

友人のI J嬢のお薦めのパン。これは本当に毎日でも食べられます。外見からバターを塗るような食事パン、そして一般的な単純風味を連想してしまいそうなのですが、これがこれが・・・。適度な塩味と全粒粉の味わいが広がり続け、私はこのままでペロリでした。本当にシンプルであっさりとしているのに舌を魅了し続けます。そして硬さ(柔らかさ)もちょうどいいのです。I J嬢でなくともお薦めです!
グラタンクロワッサン

今度はやはり友人のI Y嬢のお薦め。意外なことにデニッシュ生地。暖めるとチーズがトロ~リで、もう大変!包まれているツナともとてもよくマッチしています。濃厚なのにしつこさが全くありません。この旨味、口内から消えてしまうのを惜しむらしむる。
チーズパン

生地は柔らかめです。そして、チーズがなんと甘い!でも噛みしめるとやはりしっかりとしたチーズの風味。不思議な体験。
生ハムとチーズのサンドウィッチ

生ハム、チーズ、オリーブオイル、そして小麦。お口の中でそれぞれがはっきりと主張しながらもまとまっていくような一体感を感じます。食べ終わると生ハムのかすかな旨味とオリーブオイルのほのかな香りが残ります。
ピザ二連発
生ハムとチーズのピザ

チキンとタマネギのピザ

これらを見たら、もう買いですよね。具材の味、オレガノの香り、そしてオリーブオイルが含侵されたフォカッチャ生地。本当に大満足です!お家で暖め直すとさらに美味。いや~、このお値段で大丈夫なのでしょうか?安過ぎませんか?
ここまででいわゆる食事パンの部類をご紹介しましたが、先号のVol.1を含めると非常にバラエティーに富んでいることが分かりますね。
そして、上のピザの所でも書きましたが、パンのクオリティを考えると全てのパンがちょっとお安過ぎるお値段です。
バラエティーとお値段。そのことから先号のオーナーシェフの「自分のためにパンを作っています」の言葉の意味がわかってくるでしょうか?
えっ、逆に分からなくなりますか? そうですね。自分のために作るのならば普通は採算性だけを求めるはずですよね。
まっ、ともかくさらにパンたちのご紹介。
今度は甘パン系です。
レーズンロール

デニッシュ生地でジューシーです。生地の甘さは極限まで抑えられていますが、噛みしめるごとに甘さと旨味が頬の奥に溜まっていきます。つまりレーズンの味を生かし切っているということですね。飲み込むのが惜しいくらいです。
馬のひづめ

この造形。フォトジェニックですね。いえいえ、お味ももちろん魅力的です。生地は、先号でご紹介したクロワッサンのようにミルク感があります。しつこさの無い甘さのカスタードパイはきっとあなたを虜にするはずです。でも、スペインでは一般的のようです。いいな~。あっ、こちらのパンは週末限定です。
ミゲリート

これもスペインで親しまれている甘パンです。挟まれているのはカスタードクリームのようなクリームチーズ。柑橘系のような酸味を感じます。が、これはイチジクだそうです。クルミと相まってまろやかでふんわりとした上品な風味です。ちょっとだけ贅沢をしたい時、かしこまることのない室内楽を聞くようにどうぞ。
エンサイマーダ

スペインはマヨルカ島発祥と言われています。柔らかめのパイ生地で、とても食べやすいです。香りが魅力的で、その香りと生地が合わさってちょうど良い甘さを作り出しています。その手練れの技だけでもスペインパンの伝統を垣間見ることが出来ます。
こうして見てくるとスペインパンの奥深さを感じます。
まるでアランブラ宮殿に迷い込んだよう・・・。
たとえば今号の最初にご紹介した「全粒粉パン」と先号でご紹介したTheスペインパンとも言える「オリーブオイルと塩のパン」。双方とも外見はバゲット風で似ているのですが、これが全対照!
これが同じお店の同じシェフから作り出されるのです!
ガンディアベーカリーのオーナーシェフ様とは何者ぞ?
先号で、スペインのご実家がパン屋さんであり、お父さまからの薫陶のもとその技術を習得されたことを少しご紹介しました。
そして、留学のため来日され、ご結婚なさったそうです。
でも、「本当に純粋なスペインパンを日本の皆さんにご紹介したい」との思いでお店を開き、毎日夜中の12時からパン作りをされているのです。
その求道者のようなオーナー様は、日本におられるスペインの方々が故郷の味を思い出し、スペインのスピリッツをよみがえらせるほどの謂わば純血のスペインパンを日々生み出しています。
それほどの熱意と腕を持ちながらも「毎日が学びなんです。気温も水の温度も毎日違うので、一日として同じパンが出来ません。理想とするパンを作るのはとても難しいんです」とおっしゃいます。
そして、「だからこそ、売り上げ(採算性)よりも、わたしは愛を込めてパンを作っています。だから私は自分のためにパンを作っています」・・・。
「愛を込めてパンを作る」「毎日」・・・。
「さらなる愛のこもったパン職人になるために毎日自分を鍛錬する」。これこそが、先号からの疑問である「自分のためにパンを作る」ことの真の意味、本当の答だったのですね。
毎日夜中からパン作りをしてその技術を幾ら磨いても、それだけではオーナー様には意味が無かったのです。
「たとえ体を投げうって自分を誇れるようにしても、愛が無ければ何も得られません」。これは聖書の言葉です。
愛を込めること、すなわちそれは実際には他の人のためです。自己中心的とは反対の利他的な動機と行動です。
聖書の言葉はこう続いています。
「愛は辛抱強く、親切です。…愛は自慢せず、思い上がらず…、自分のことばかり考えず…、不正を喜ばないで、真実を喜びます。…愛は決して絶えません」。
「自分のためのパン作り」であっても、それはオーナー様の内奥の深まる愛と毎日の鍛錬の表れそのものだったのです。
「お前の友達をおしえてみろ。そうすればお前がどんな人間か当ててやろう」
スペインパンと言ったら? 「ガンディアベーカリー!」と即答する人が居るならば・・・。その人がどのような人であるかは明らかですね。
いえいえ! ガンディアベーカリーさんと言ったら? 「愛が込められた本当のスペインパン屋さん!」と即答するべきでしょう。
このようなパンたちは美味しいに決まっています。
みなさまも是非どうぞ!
Gandia Bakery(ガンディアベーカリー)
住 所:江東区北砂4-5-7
営 業:火曜日~土曜日 8:00~売り切れまで
日曜日・月曜日はお休みです
(もうどうでもいいけど・・・。冒頭の「「ミゲール・イドゥライン、ペドロ・デルガド、アレハンドロ・バルベルデ」とはスペインの有名自転車選手です。そして「ゼウス、トリプレックス」を知っているあなた。そう、あなたは確実に病的な自転車マニアです。コアなスペインの自転車部品メーカーを知っているからです。ゼウスのインフレーターにHETA Sports(下手スポーツ⁉)ってあったな・・・。このようなことですみませんね。だって、弊誌は「自転車で行けるパン屋さん通信」なもんで)
それでは失礼いたします。
「自転車で行けるパン屋さん通信」

