今号はパティスリーでありながらも美味しいパンを購入できるお店のご紹介です。
このシリーズはちょっとかもしれませんが続きますので、「パンも売っているパティスリーさん-その1」としますね(11号のブーランジェリーHARUさんのように出自はパティスリーでも、パン専門のお店は除きます)。
その第一回目に登場するのは、PUDORさんです!
木場公園のほんのちょっとだけ南側。だから自転車でなく徒歩でもOK。
じつは北海道は札幌の友人IN兄いからのリクエストです。北海道なのに、テレビ東京系列の「アド街ック・・・」という番組で見たそうです。
PUDORさんはチーズタルトとシュークリームの専門店です。
「美味しいっ!」とご近所でもとても評判のお店です。
シンプルでありながら奥深さを感じるスウィーツを楽しめます。
ですが、ドアを開けてお店に入ると・・・、
塩バターフランス「パン」のポスターが・・・。
開店当初は無かったのですが、しばらく前からパンも店頭に並ぶようになりました。
こちらのご夫婦、温厚で近づきやすいうえに諧謔精神も兼ね備えておられるという感じでして・・・店内撮影も快くOKしてくださいました!
(そんなこと言ったって、店内のパンの写真は以下の1枚しかないじゃん。実は、何度も写真撮影をお願いさせていただいたんですが・・・。私へたくそなもんで、全然うまく撮れないんです。PUDORさん、本当にすみません・・・。載せた1枚も逆光が強いものになってしまって・・・)
パンを始めた理由も「流行に乗ろうと思ったダケ」だそうです。
ところがところが、そんな意識的な軽口はきっと自信の裏返しではないかと・・・。
だって、パンのレベルが高い!
だから、パン目当てのお客様の行列が長い!
パン焼き上がり時刻にはお客様がずらっと並び、本当にすぐに売り切れ!
では、購入したパンをご紹介。
生フランスパン
形はなんだか英国海軍のトライデント級潜水艦(トライトン級)。
焼き上がりの直後の仕上げのバター塗り。
このバターを塗る時の「パチパチ」音を「天使のささやき」って言うと物の本に書いてありました。フ~~~~~ン。(すみません。逆光を処理できない画像で・・・。)
「生」なので、出来立てをそのまま食べると柔らかなイギリス食パンのようですが、いやっ?でも奥に潜む風味はまがうことなくフランスパン! そして、少し焼いて食べてみると、あ~ら不思議、今度はしっかりとしたストレートなフランスパンに。
外見は潜水艦でもさすが美味しいお菓子を作られるパティシエのパン。そのまま「生」で食べてもトーストしても上品なふくよかな香りと適度な歯触りでとても美味しく、繊細という言葉が当てはまるフランスパンだと思います。
クロワッサン
しっかりとした作りという印象です。
よく噛むと発酵バターの奥深い香りが口の中に広がってゆきます。それは、生地自体とその巻きの練度が高いことの証明だと思います。しっかりとした作りながらも風味を楽しめる、やはり繊細と表現できるクロワッサンです。
スコーン
パティスリー作でありながら甘さが抑制された正統的スコーンと言えます。それでも口に入れた瞬間からバターの香りに包まれたほのかな甘みが舌をくすぐり、噛みしめていくとその適度に抑制された甘みが開放されていつまでも続いていきます。ホンマでっせ~。
塩バターフランス
美味しいです!!乗っている御フランス産のゲランドの塩が適度なアクセントになって、もう食べだしたら止まりません!
なんと表現するんでしょうか?不思議なことに舌の上でバターが香るんです。おそらくフワッとしていながらも噛み応え十分な生地のためだと思います。パンが口から消え、喉の奥に落ちた後にバターの香りが鼻を抜けていきます。そして、すぐに次のちぎったパンを口に運び込んでしまいます。とにかく止まらない美味しさなんです!
カヌレ
外側は、私が知る限りのカヌレの中で一番ぶ厚いクラスに入ります。そのためしっかりとして食べ応えがあります。中身は卵感を強く感じられ、ほんのりとブランデーかラム酒の風味が鼻を抜けていきます。歯触りと香りを楽しめるとても美味しいカヌレです。
カヌレが出たので、パンではないんですがメインのお菓子類も・・・
カスタードシュークリーム
香ばしい白ゴマ生地のシューとこれまた抑制のきいた適度な甘さのカスタード。シューが「硬い」と感じられるのですが、香ばしさを醸し出すのに一役買っています。その「硬さ」の歯ごたえと上品なカスタードクリームのコントラスト。あなたのお口に中で素敵なハーモニー。このバランスはたまりません!
バスク風チーズタルト
これはもうここで書く必要はありませんね。このタルトに満足しない人は絶対に居ません!実際、友人・知り合いの方々の発する言葉はすべて「美味しい!」です。それ以外の言葉を聞いたことがありません。
チーズが香りと共に主張してくるのですが、それを包んでいる生地がこれまたしっかりとしています。両者が融合して調和を生み出し、The Tarteと表現出来る一品を作り出しています。
お店が可愛らしく小さいためか、お品は少数精鋭という感じで、他店と比べると種類はわずかと言えるかもしれません。もちろん常にショーケースを飾る商品もありますが、出来上がり時刻・焼き上がり時刻が異なり、その時々によって、生フランスのクリームパン・クリームコルネ・数種類のタルト・チーズズコット・クロワッサン食パン・わらび餅・・・と彩りが変わっていきます。
PUDORさんのホームページを拝見すると「目指したのは優しさです」とあり、「・・・幼い頃、母がよく作ってくれた焼き菓子達は・・・」と続きます。
ここまで読んだ時、私が子供の頃、やはり母がごく普通のオーブントースターで焼いてくれたパウンドケーキを兄弟で分け合って食べた幾つもの場面を私の意識がゆっくりとめぐることを始めました。
「PUDORさんのそれぞれのパンの焼き上がり時刻は何時だっけ?」などとこのブログの作成中でもあったので、次第に速度を上げていくそれらのくるくると回る懐かしい場面に、今度は彩りを変えて登場するPUDORさんの幾つものパンやお菓子が絡みついていき、そしてそれらが時間軸に揺らぎをもたらしていくようななんだかおかしな感覚に・・・。
「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう。そうしてまた沈むでしょう。赤い日が東から西へ、東から西へ落ちていくうちに」(「夢十夜」 夏目漱石)と、軽いめまいに引き込まれてしまうような・・・。
でも、私の横でPUDORさんのシュークリーを食べていたかみさんの「やっぱり美味しいね」との一言で、その不思議なめまいの様な感覚から引き戻されました。
そうなんです。「やっぱり」、そして「美味しいね」。
これが全てなんですね。
母親が作るお菓子であっても、PUDORさんのパンやスウィーツであっても。
少数精鋭の品数で、それらが変わっていっても、大切なのはいつでも笑顔でほっとして言える「やっぱり」であり、そして「美味しいね」なんですね。
PUDORさんはそんな素敵なお店です。
ご夫婦で切り盛りされて、本当に大忙しです。どうか、どうかお体にはお気を付けになり、ご自愛くださいませ。
PUDOR
住所:江東区木場5-4-10
営業:11:30~売り切れまで
火曜日・水曜日がお休みです
生フランスパンの焼き上がりは11:30です。
他のパンの焼き上がり時刻(午後版)も載せておきますね。
それでは失礼いたします。
「もっとお米を食べようね社」