シンプルでありながらも奥深い
独創的でありながらも懐かしい
天然酵母のパン屋さん たかたまこむぎさんは、そのようなパン屋さんだと思います。

開店してもう17年になられるそうです。そして、ファン・固定客がとても多く、地元でもよく知られているお店ですね。それが何を意味しているかは言わずもがなです!
でも、お店のお名前がちょっと変わっていますよね。お尋ねすると「よく、そのような小麦があるんですか?と聞かれるんですが、名前からとっているんです」とのことです。お店をなさっておられるお母さまと娘さんご夫婦のお名前であるタカハシとタマガワを合わせたそうです。諧謔精神もお持ちで素敵ですね。
では、そんな素敵なお店の中の様子から。

お店の入り口の外壁にも使われている濃い目のウォールナット調の壁と棚がとてもシックな雰囲気を醸していますね。調和を感じます。


こじんまりとした空間ですが、数々の種類のパンたちが整然と並んでいます。とても選びやすいですね。


取り皿はいわゆるトレーではなく、「ざる」を用意してくださっています。これもまたとてもいい雰囲気です。
お店を出てから「あれっ・・・」と気が付いたのですが、とても落ち着いてパンを選び購入することが出来ました。店内がそのような雰囲気なのです。なぜなんでしょうか?
前述したシックな調度、整然とした配置・・・、一番はお店の方のお気遣いを含めたご人格に依る所が大きいと思うのですが・・・。とにかく、せかされるようなことが全く無い、ゆったりとした不思議な空間なのです。
どうぞ、実際に入店されて味わってみてください。
では、パンたちの登場です。
山型食パン

丁寧な作りが爽やかさを感じさせます。噛みしめていくと、ほのかでありながら嬉しい甘みが広がります。材料に三温糖を使っておられるそうです。個人的にはあまり使いたくない表現ですが、まさに優しい味です。
写真では分かりにくいのですが、もちろんミミも付いています。美味しいパンの証明です。実際本当に美味しいです。
リュスティック

以前にも書きましたが、リュスティックとは田舎風という意味があるそうです。つまりシンプル。それ故にパン屋さんの力量とパンに対する考え方が表れます。
こちらのリュスティック、食パンと同じように爽やかさを感じます。適度な硬さの生地を嚙みしめていくと、滑らかに溶けていきます。でも、美味しさが口内に残っていくのです。味わいたいシンプルさとでも言ったらいいのでしょうか。
ここで、たかたまこむぎさんの天然酵母について。
食パンにしてもリュスティックにしても、シンプルなのに味わい深く、そして爽やかさを感じるのは天然酵母を使いこなしておられることに由来するのかもしれません。
お聞きすると、「あこ酵母」を使っておられるそうです。都内でこの酵母を使っておられるパン屋さんは8店しかありません。
そもそもいわゆるイーストを使えば、割と簡単に小麦生地を膨らませることが出来ます。でも、天然酵母を使うとそうはいかないそうです。ただでさえ一次発酵、二次発酵とあるのに、天然酵母の場合は発酵力が劣るため、発酵そのものに時間がかかるそうです。そうなると、お店独自の発酵具合の見極めも難しくなります。とても手間がかかるのです。
でも、その代わり、よりふっくらとした焼き上がりになりますし、発酵の際に生み出されるアミノ酸が旨味をもたらしてくれます。
加えて、「あこ酵母」の場合は、小麦の風味を損なうことなく、逆に引き出してくれるそうです。そして、パン自体に日持ちを与え、2日目からも美味しいのです。
これが、シンプルでありながら丁寧で味わい深いパンを生み出されるたかたまこむぎさんの特徴なのでしょうね。
でも、たかたまこむぎさんの特徴は、それだけではないと思います。そのことは、次からご紹介していくパンによって分かります。
クロワッサン

このクロワッサン、歯触りはどんなものだと思いますか?なんと、ザクザクなのです。このようなクロワッサンを食べたことがありません。ザクザク食べると、バターの香りが鼻を抜けると同時に甘みも広がっていきます。
焼きサンド

ベーコン、しめじ、タマネギ、マスタード。素材をそのまま生かしたシンプルな焼きサンドなんですが・・・。これが他ではお目にかかったことが無いミックス度合いなのです。それぞれの素材を味わいつつも、最終的に和合してゆきます。
クロックムッシュ

ツナの主張がとても強いです。パンのフワフワ感と対極的。これもありそうで無いお味です。主張の強かったツナが噛みしめていくとフワフワなパンに包まれて、柔らかな味覚へとエヴォリューション。
ツナフランス

これもまたツナが中心的な役割を果たしています。でも、マヨネーズと和えていないのか?別スペースに居るトマトの酸味と混ざり合うとインパクトがさらに増大します。う~ん・・・、これもありそうでどこにもないパンだ・・・。
メロンパンコーヒー

メロンパンですからどこにでもありそうなんですが・・・。これがこれが、コーヒーをメロンパンにアレンジしてしまうとは!ぴったりとマッチする上に全く新しい美味しいお味!これっ、美味しい~。
クロッカン

ブロック状の生地を砂糖とバターで接合?これはスウィーツに近いです。でも、甘みは本当にほのかです。ですが・・・、何だろう?何かの風味を感じます。やっぱり印象に残ります。
焼きカレーパン

辛さと甘さが香り立ちます。カレーパンとカレー自体にうるさい人をも「う~ん・・・」と黙らせる絶妙なバランスを保っています。
クランベリーチーズ

ご覧ください。このチーズの大きさ。しっかりとしたパン生地がクランベリーとクリームチーズを口内でミキシングさせます。クリームチーズの甘さとクランベリー独特の酸味が混ざり合いが美味です。
レーズン(左)、デニッシュ(右)

かわいいまあるいブドウパン。十二分の量のレーズンが生地全体に均一に散りばめられています。丁寧なお仕事です。
デニッシュはもうこれは立派なアップルパイです。リンゴと酸味とほのかな甘み。意識的に薄く敷かれたクリームが甘みを補っているのですが、けっしてかしこまることなく食べられます。
クリームパン

ご覧ください、この可愛らしい形。ニャンコのお手々のようです。もう自然にトングが「ざる」に運び入れています。カスタードクリームなのですが、懐かしさと満足感を与えてくれるTheクリームパンです。
たかたまこむぎさんが意識していることは、「シンプルで素材を生かす」ことだそうです。
確かにそうなのですが、最初に書いた通り「シンプルでありながらも奥深い」「独創的でありながらも懐かしい」のです。
どこか他のパン屋さんのパンと違うのです。ありそうで他には無いのです。それも何か複雑に手を入れ込んで作り上げた故に出来上がるパンとは異なるのです。丁寧さをとても感じるのですが、力を入れ過ぎずして作り上げ、かつ柔らかなインパクトを与えるパンたちなのです。
一つの特徴を始めの方に書きましたが、これがたかたまこむぎさんのもう一つの特徴だと思います。オリジナリティがあるのです。
明快で複雑ではない進行でありながら、親しみ易さと独自性のあるドヴォルザークの楽曲のようです。
おそらく、根本的に味覚センスが優れているという土台があり、その上にアイデンティティを築き上げるという向上心をいつもお持ちなのではないかなあと思います。
皆様も是非そのパンたちを味わいくださいませ。
天然酵母 ぱん屋 たかたまこむぎ
住 所:江東区牡丹3-19-8
営 業:月曜日と火曜日が定休日
10:00~売り切れまで
それでは失礼いたします。
「もっとお米を食べようね社」

